小さなアドバイス集4
計算ミス・計算練習

計算ミスは風邪のようなものです。体が丈夫になれば風邪もひかなくなるように、学力がつけば計算ミスも減ります。5年生に3年生の問題を解かせれば、計算ミスはほとんどしないでしょう。それだけ学力がついているからです。
私の生徒の場合は、公開テストの計算問題で、生徒が5問中4問以上間違えるようでしたら対策をします。3問以内なら対策はしません。1問1問に時間をかけてじっくり考える勉強を、粛々と続けるだけです。計算ミスは、総合的な学力がつけば自然となくなるからです。
計算練習

宿題で計算練習を毎日10〜20問課している塾がありますが、計算問題が10問も20問もあれば、大人でも見ただけで吐き気がします。
子どもはできるだけ速く苦痛から逃れようと、ミスなど気にせず適当に終わらせ、適当に丸つけをして、やり直しもせず宿題終わるでしょう。頭を使う方が疲れるので、計算の工夫など全くしません。とにかく宿題をしたという見せかけができればそれでいいのです。こんないい加減な勉強を毎日続ければ、計算ミスが増えない方がおかしいでしょう。
子どもの計算ミスを本当に減らしたいなら、計算練習は1日1題か2題にすべきです。私の生徒の場合は、塾の計算練習の宿題は辞めてもらい、1日1題だけ、計算の宿題を出しています。
1日1問、余白もたっぷりあれば、子どもは1回で正解させようと丁寧に計算します。丸つけの前に確かめもします。丸つけして間違っていたら、たった1問も正解できない自分が悔しくなり、やり直しも必ずします。計算の工夫ができそうな場合は、少々時間がかかろうとも、たった1問なら時間も頭も余裕があるので、工夫して計算をします。このような勉強を3ヶ月も続ければ、必ず計算ミスが減ります。
特に、算数の偏差値が60を超えるような優秀な生徒には、計算練習は必要ないと私は考えています。塾が計算練習の宿題を出すから、それをやらなければ親が不安になるだけであって、子どものためと言うよりは、親の不安を解消させるための宿題になっています。
漢字練習

国語の漢字練習についても、「漢字が正解していればあと○○点取れた」と言って、漢字練習ばかりに力を入れる親がいます。しかし、漢字練習は学校の宿題さえちゃんとしていれば、最悪でも、問題集を1冊終わらせるなどして、入試の2週間前でもなんとかなります。しかし、読解力は一朝一夕では身につきません。
計算や漢字といった手っ取り早く点数が上がるところに力を注ぐのではなく、算数なら計算問題以外、国語なら読解の問題に力を注ぐようにしないといけません。枝葉末節から攻めるのではなく、いつでも、大本命に真っ向勝負を挑まなければ、合格に必要な力はつきません。
定規とコンパス

中学受験の塾に通うと、必ず「図はフリーハンドで描きましょう」と言われます。中学受験の指南書にも必ずそう書かれているでしょう。しかし、フリーハンドで図を描く以前に、定規とコンパス、時には分度器を使って正確に図を経験を、しっかりと積まないといけません。
もともと絵が上手な子ども、低学年の頃から式や図をスラスラ書けるような子どもは、フリーハンドでもそれなりの図を描きますが、それ以外の子どもは、いきなりフリーハンドで練習すると、それはもうチンプンカンプンな図を描き、図形の問題が必ず不得意になります。

私の生徒の場合は、6年から教える生徒には夏まで、5年から教える生徒には1年間、できるだけ定規とコンパスを使って正確に図を描かせるようにしています。
特に5年生の後半で習う図形の移動の単元では、実物大で描けるサイズなら実物大で、それ以外は2分の1などに縮小した図を、ゆっくりと時間をかけて、正確に作図させます。こうして基礎の基礎から時間をかけて丁寧に教えると、必ずその単元が得意になります。
時間がないからと言って、はじめからフリーハンドで、理解があいまいなまま進めていくと、結局同じことを何度も何度も教えないといけなくなり、かえって時間がかかることになります。 難しい単元は特に、コース料理のようにわざと手数を増やして、時間をかけて少しずつ吸収させなければ、子供の頭の中まで浸透しません。