算数の教え方+受験アドバイス

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4・5年生の時に注意すること

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睡眠はたっぷりとる

5年生の時点で睡眠時間が7時間を切っているような子どもは、今後の成績アップはありません。親が目を覚まさない限り何をやっても焼け石の水、ダムの水を逆流させるような愚行に過ぎません。

私が家庭教師を受け持つご家庭ではだいたい、5年生のうちは9時間、6年は8時間確保するようお願いしています。もちろん、子どもによって必要な睡眠時間は異なりますし、日によっても、体調によっても必要な睡眠時間は異なります。私も含め、他人の意見をそのまま真似するのではなく、子どもの脳が最もよいパフォーマンスを発揮できる睡眠時間を、それぞれのご家庭で模索し、実行して下さい。理想は、その日の疲れはその日のうちにとること、次の日は元気と気力が充実した状態で朝を迎えることです。

宿題をやり過ぎない(全部やらない)

ほとんどの塾は宿題が多すぎます。宿題を多くしないと、灘中などに確実に合格する優秀な生徒に他塾に逃げられるからです。ですから塾の宿題は多すぎるのがデフォルトだと思って、親の方で宿題の量を減らして下さい。

塾の先生が「全部やれ」とうるさい場合は、「他に習い事をしていて忙しい」と伝えたり、受験にさほど熱心でない素振りをしたりして下さい。宿題を全部こなそうとすると、どうしてもやり方を覚える勉強になり、自分の頭を使って考えなくなります。悪習が身に染まりやすいように、楽な勉強方法ほど、すぐに身につきます。ですから、親は、雨あられと降り注ぐ塾の宿題から、子どもを守らないといけません。

大きな道路から遠ざかって、生まれたばかりの若木を人々の意見の攻撃からまもることをこころえた、やさしく、先見の明のある母よ、わたしはあなたにうったえる。若い植物が枯れないように、それを育て、水をそそぎなさい。その木が結ぶ果実は、いつかあなたに大きな喜びをもたらすだろう。あなたの子どもの魂のまわりに、はやく垣根をはりめぐらしなさい。垣のしるしをつけることはほかの人にもできるが、じっさいに障壁をめぐらせる人は、あなたのほかはいない。

エミール(上)』 ルソー著 岩波文庫 p.28

塾に通い出した頃は順調にクラスが上がっていったが、ある時点で伸びなくなり、その後一番下のクラスまで下がった、という話を良く聞きます。これは、クラスが下の間は宿題の量が適度だったのが、クラスが上がった時点で宿題が許容量を超え、それを全部こなそうと悪い勉強方法が身についてしまったのが原因です。

塾に通って、成績が順調に伸びるというのは、非常に稀有な状態です。ですから、現在成績が順調に伸びている場合は、現在の宿題の量をキープして下さい。成績が下がっている場合は、過去に成績が順調だった頃の宿題の量まで、勉強量を減らすようにして下さい。

ただし、ここで注意が必要です。塾の宿題は調節する代わりに、学校の宿題は必ず100%、丁寧に、完璧にやって下さい。主客の区別は重要です。小学校の宿題をさぼる習慣がついた子どもは、中学・高校でも塾の宿題に力を割いて学校の勉強をおろそかにし、会社に入っても会社の仕事をおろそかにするでしょう。

その代わり1問1問じっくり考える・基礎を固める

もちろん、宿題を減らすだけで成績が上がるわけではありません。そのかわり、1問1問時間をかけて、問題をじっくり考えさせるようにして下さい。子どもが納得いかないようでしたら、実験したり、図を描いたり式を書いたり、簡単な数字で考えたり、一つ前のレベルの問題にもどったり、いろいろ試行錯誤させて下さい。こういう丁寧な勉強をすることで、考える力ややり抜く力がつき、勉強自体も楽しくなり、それが自信にもつながっていきます。

4、5年生のうちに正しい勉強法が身につけば、一体他に何を望むことがあるでしょうか?目先の復習テストで点を取ることに血眼になることなく、焦らず、じっくりと、子どもの勉強につき合い、子どもがつまずいたときは、叱るのではなく励まし、応援し、アドバイスをし、いっしょに壁を乗り越えていってあげて下さい。

また、1問1問しっかり解くことで、基礎を固めることができます。

例えば塾の宿題が易しい順からA問題、B問題、C問題に分かれているとします。「復習テストで点を取るためにはC問題までしないとだめ」、「◯◯中学に受かるためにはC問題までやらないとだめ」と思っている親が多いです。しかし、4年生、5年生のうちは、初めて習う単元ばかりです。そして、B問題の後半やC問題になると、はじめて習う子どもにはふさわしくない問題も多いです。そういう問題は、放っておいても灘中などに合格するような子どものための問題と思って、手をつけない方がいいのです。それを無理に教えることは、乳幼児に成人食を与えるようなもので、かえって害になります。

野生動物が適切な食事量を守るように、子どもが自分ペースで1問1問じっくり進めて行けば、自然とそういった害のある問題にたどり着くことはありません。消化不良を起こすのは、いつも大人側に責任があります。

どうしても勉強時間が余ってしまうのであれば、次の単元のA問題の予習をするなり、復習するなり、読書量が足りない子どもは読書の時間に当てるなどして下さい。大切なのはとにかく基礎をしっかりと固めること。大きい塔を建てるには、深くて堅い土台が必要です。

読書について

私は以前、ここの節の表題に「本をたくさん読ませること」と書き、読書の重要性について思いつくままに述べていました。しかし、今ではそれを疑問に思っています。なぜなら、本を読む子どもは親に言われなくても読むし、読まない子どもは全く読まないからです。

私は今まで100人以上の生徒の家庭教師をしてきましたが、読書を禁止されている子どもに好きなだけ本を読ませることで成績を上げた経験はいくらでもありますが、本を読まない子どもを読むようにできたことは、ただの1回もありません。本に全く興味を示さない子どもをもった親に、無用なプレッシャーをかけてきたことを、申し訳なく思っています。

今はこう考えています。本を読む子どもが本の中から人生の基礎となる何かを学ぶように、本を読まない子どもは、遊びや運動、スポーツ、絵、歌、踊り、音楽など、自分の興味のあるものの中に、何かを読み、何かを学んでいます。親にできることは、子どもがそういったものに夢中になっているのを妨げないこと、できればその自然の方向に、子どもの才能を伸ばしてあげることです。

受験勉強について言えば、本を読まない子どもは必然的に国語の成績が悪いでしょう。そういう場合は、理科や社会の勉強時間を削って、算数の2倍、3倍の時間をかけて、教材も1学年、2学年下の問題集を使って、親と子の二人三脚で勉強をして下さい。6年生の秋以降は、塾の国語の授業も受けずに、親子2人で志望校の過去問を勉強して下さい。そうすれば、少なくとも志望校の受験者平均点は必ずとれるようになります。

子どもが本を好きな場合は、好きなだけ本を読ませること。読書時間はそのまま国語の勉強時間になります。

勉強以外のことをたくさんする

睡眠をたっぷり取り、毎日元気にあふれた子どもで、1問1問じっくり考え、本もたくさん読む。このような子どもであればもう言うことなしだと思いますが、さらに付け加えるとしたら、スポーツや音楽など、勉強以外の習い事を続けることです。そういった子どもは、私の経験でも、根気や忍耐力、集中力、自制心などがある子どもが多いです。ひと言で言えば、勉強だけの子どもよりも精神年齢が高くなります。

「中学受験にそんなことをしている時間はない!」とお考えの方も多いと思いますが、そんなことはありません。体験の幅が広い子どもはそれだけ深く物事を考えることができますし、自制心のある子どもはそれだけ質の高い勉強をすることができます。また、スポーツや音楽は、勉強の合間のよいリフレッシュになります。私の生徒の場合は、入試直前まで、水泳やピアノなどの習い事を続けるようにアドバイスしています。

中学受験の合否は、地上に咲くたった一時の花に過ぎません。一時の花ではなく、立派で丈夫な大樹に育つように、目に見えない地下で広く深く根をはるような、いろいろな体験を子どもにさせてあげて下さい。樹齢の長い樹ほど、花が咲くまで時間がかかるものです。

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